理知
こんにちは。
ナインです。
本日も本の紹介です。
今回紹介する作品は
『Kの昇天』
です。
梶井基次郎の作品です。
『檸檬』『櫻の樹の下には』『愛撫』に続いて4つめとなります。
梶井の作品は数が少なく、どれも短いので、全部合わせても薄い文庫本一冊に収まってしまいます。
いずれ全てについて書けたらなと思います。
あらすじ
お手紙によりますと、あなたはK君の溺死について、それが過失だったろうか、自殺だったろうか、自殺ならば、それが何に原因しているのだろう、あるいは不治の病をはかなんで死んだのではなかろうかと様さまに思い悩んでいられるようであります。そしてわずか一ひと月ほどの間に、あの療養地のN海岸で偶然にも、K君と相識ったというような、一面識もない私にお手紙をくださるようになったのだと思います。私はあなたのお手紙ではじめてK君の彼地での溺死を知ったのです。私はたいそうおどろきました。と同時に「K君はとうとう月世界へ行った」と思ったのです。どうして私がそんな奇異なことを思ったか、それを私は今ここでお話しようと思っています。それはあるいはK君の死の謎を解く一つの鍵であるかも知れないと思うからです——。
感想
梶井の作品には詩的なものが多いというのは、梶井の作品をいくつか読めばすぐにわかるだろう。
短いながらもいずれも綺麗な作品たちだ。
しかし詩的だからというべきか、あまり小説っぽくないように私は思う。
以前私が書いた、芥川の作品の中でも一番だとさえ思っている『蜜柑』は、梶井の作品と同じように短く、そして綺麗だ。
しかし詩的ではなく、ストーリーがあり、完全に小説だ。
ここが梶井との違いだろう。
そんな梶井だが、今回の『Kの昇天』は他の作品と比べるとストーリーがあり、小説寄りな作品だ。
もうひとつ『Kの昇天』では、梶井の特徴の一つである理知性が表されている。
梶井が描く作品は幻想的なテーマが多い。
『Kの昇天』では月に昇天というテーマが扱われている。
しかし一見荒唐無稽だと思えるようなテーマにもしっかりと理論があり、理詰めされている。
こういったところが梶井の良さといえるのでないだろうか。
おわりに
今回はあまり間を空けずに更新できました。
今後もなるべく早いペースで更新できたらいいなと思っています。
最後までお読みくださりありがとうございます。