桜とか屍体とか


こんにちは。

ナインです。

本日も本の紹介です。

今回紹介する作品は

 

桜の樹の下には

 

です。

前回に引き続き梶井基次郎の作品です。

シリーズ化する気はないので、今回で終了する予定です。

次回からはまた別の作家の作品を紹介していきます。

 

さてこの作品ですが、書き出しの「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」はとても有名なのではないかと思います。

この作品は今まで私が紹介してきた作品の中で一番短い作品です。

本当にパッと読めるので、是非ご一読ください。

あらすじ

 桜の樹の下には屍体が埋まっている!

 これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。

 

 どうして俺が毎晩家へ帰って来る道で、俺の部屋の数ある道具のうちの、選りに選ってちっぽけな薄っぺらいもの、安全剃刀の刃なんぞが、千里眼のように思い浮かんで来るのか――おまえはそれがわからないと言ったが――そして俺にもやはりそれがわからないのだが――それもこれもやっぱり同じようなことにちがいない。

 いったいどんな樹の花でも、いわゆる真っ盛りという状態に達すると、あたりの空気のなかへ一種神秘な雰囲気を撒き散らすものだ。それは、よく廻った独楽が完全な静止に澄むように、また、音楽の上手な演奏がきまってなにかの幻覚を伴うように、灼熱した生殖の幻覚させる後光のようなものだ。それは人の心を撲うたずにはおかない、不思議な、生き生きとした、美しさだ。

 しかし、昨日、一昨日、俺の心をひどく陰気にしたものもそれなのだ。俺にはその美しさがなにか信じられないもののような気がした。俺は反対に不安になり、憂鬱になり、空虚な気持になった。しかし、俺はいまやっとわかった――。

感想

これほど美しい書き出しはなかなかないだろう。

美しいとは少し違うかもしれないが、違う作品の書き出しで私がいいと思ったのは、ベタではあるが、川端康成の『雪国』だ。

 

桜は日本人にとってもなじみ深い花だ。

財布から100円玉を取り出し、それを見てほしい。

きっと桜が刻印されていることだろう。

このように身近なところに桜が使われている。

また、本居宣長は「敷島の大和心を人間はば朝日に匂ふ山桜花」と詠んでいる。

「日本人である私の心とは、朝日に照り輝く山桜の美しさを知る、その麗しさに感動する、そのような心だ」といった意味であるのだが、様々な句に桜がでてくるように、日本人と桜には昔から深い縁がある。

おわりに

桜の樹の下には屍体が埋まっている!」

いいですよね。

なんでこの一文だけこれほど有名になったのでしょうね。

 

そういえば似たタイトルで、『櫻子さんの足元には死体が埋まっている』というのがありますね。

こちらは漫画版もありますし、アニメ化、ドラマ化もされてますね。

私は見たことがないのですが、興味があればこちらもご一緒にどうぞ。

 

最後までお読みくださりありがとうございます。

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