謎の疑問


こんにちは。

ナインです。

本日も本の紹介です。

今回紹介する作品は

 

『踊る一寸法師

 

です。

江戸川乱歩シリーズ第8弾です。

この作品は、乱歩が敬愛する作家、エドガー・アラン・ポーの作品『ちんぼ蛙』をもとにして書かれています。

『ちんぼ蛙』とは大きく設定が違うだけで、話の筋としてはほとんど違いがありません。

 

『踊る一寸法師』は8500字程度の短編です。

10~15分ほどで読めると思うので、是非ご一読ください。

今回はネタバレありですのでお気をつけください。

あらすじ

「オイ、緑(ろく)さん、何をぼんやりしてるんだな。ここへ来て、お前も一杯御相伴(おしょうばん)にあずかんねえ」

 肉襦袢(にくじゅばん)の上に、紫繻子(むらさきじゅす)に金糸でふち取りをした猿股をはいた男が、鏡を抜いた酒樽の前に立ちはだかって、妙に優しい声で云った。

 その調子が、何となく意味あり気だったので、酒に気をとられていた、一座の男女が一斉に緑さんの方を見た。

 舞台の隅の、丸太の柱によりかかって、遠くの方から同僚達の酒宴の様子を眺めていた一寸法師の緑さんは、そう云われると、いつもの通り、さもさも好人物らしく、大きな口を曲げて、ニヤニヤと笑った。

「おらあ、酒は駄目なんだよ」

 十一二歳の子供の胴体に、三十男の顔をくっつけた様な怪物だ。頭の鉢が福助の様に開いて、らっきょう型の顔には蜘蛛が足を拡げた様な、深い皺と、キョロリとした大きな眼と、丸い鼻と、笑う時には耳までさけるのではないかと思われる大きな口と、そして、鼻の下の薄黒い無精髯とが、不調和についていた。青白い顔に脣だけが妙に真赤だった――。

感想

変な話かもしれないが、私はこの作品をハッピーエンドと捉えている。

「おめでとうございます」と祝福したいほどである。

理由として、私は復讐は大いに結構だと思っているからだ。

むしろ復讐を推奨しているくらいだ。

よく「復讐はダメだ」とか「復讐は何もうまない」などと聞くが、それに対する私の返答は「ふざけるな」だ。

そんなことが言えるのは、きっと己や大切なものを虐げられたことがないからだろう。

 

もうひとつ「こんなことをしても〇〇は喜ばないよ」もたまに聞くが、少なくとも私は喜ぶ。

もし私が誰かに殺されたとして、家族や友人が私を殺したやつを殺したならとても嬉しい。

仇討ちだって立派な復讐だろうに。

 

もちろん復讐するのだから復讐されるのは覚悟のうえだ。

しかし復讐されたことによってまた新たな復讐は生まれるだろう。

意外と世の中の気づかないところではそういった具合に回っているのかもしれない。

 

あくまでこれは私の意見なので、まったく聞く耳をもたなくてもいいと思う。

ただなにも考えず思考停止して「復讐は悪い事だからやめよう」などというのは少し愚かなのではないかと私は思う。

 

作中の語り部となっている「私」。

彼は一体なにものなのだろうか。

彼についての説明は一切ないし、他の団員から話しかけられることもない。

一方的に「私」の視点で物語は終わってしまう。

もちろん一寸法師が本当に殺したのかや、その後どうなるのかなどの疑問もある。

しかし私はこの「私」の存在が一番の疑問であると思っている。

もっとも、「私」の正体は闇に消えるのだろうが……

おわりに

江戸川乱歩という名前は、乱歩が敬愛する作家エドガー・アラン・ポーからきています。

 

次回も江戸川乱歩シリーズの予定です。

どの作品について書くかはまだ未定ですが……

次回も是非お読みください。

 

最後までお読みくださりありがとうございます。

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