新シリーズです
こんにちは。
ナインです。
本日も本の紹介です。
今回紹介する作品は、江戸川乱歩の
『人間椅子』
です。
次のシリーズは江戸川乱歩です。
そんな江戸川乱歩シリーズの記念すべき第1弾は『人間椅子』です。
タイトルくらいは聞いたことがあるのではないでしょうか?
江戸川乱歩シリーズにしたのには特に理由があるわけではありません。
なんとなくです。
ただ、『人間椅子』を第1弾にしたのには理由があります。
私が初めて読んだ乱歩の作品が『人間椅子』だったからです。
この作品で私は乱歩に引き込まれました。
それほどに衝撃的な作品だったのです。
皆様も是非、乱歩作品を読んでみてください。
もしかしたらネタバレしてるかもしれないです。
お気をつけください。
あらすじ
佳子(よしこ)は、毎朝、夫の登庁を見送って了うと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、とじ籠るのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
美しい閨秀(けいしゅう)作家としての彼女は、此の頃では、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。別段通知の手紙は貰っていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、思った通り、原稿用紙を綴(と)じたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前(もちまえ)の好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった――。
感想
当初私は、タイトルから醜悪なものをイメージしていた。
まあ結果として、私がイメージしたようなものは一切出てこなかったのだが。
しかし私は、読んでいるうちに当初のイメージの方が幾分マシだったのではないかという気味の悪さを感じたのだ。
読んだ方はお分かりいただけるだろうが、この作品はとても生々しいのだ。
この作品は当然フィクションだ。
だが本当にそうだろうか?
実は乱歩自身が実際に経験してこの作品を書いているのではないか?
そうではなくとも実際に経験した人間から聞いた話を基にして乱歩が書いたのではないか?
本当に? 本当に? 本当に?
そう疑ってしまうほどの生々しさなのである。
故に私は読んでいる途中に言いようのない気味の悪さに襲われた。
恐怖に近しいが、明らかに恐怖とは異なる感情が胸中を満たしたのだ。
さらに言えば、一見そのまま捉えればいいようなラストにも、思わず疑いを持ってしまう。
佳子が感じた気味の悪さも一入だろう。
まったくもって彼女には同情してしまう。
というわけで私は、乱歩の変態的な世界観にすっかり取り込まれてしまったのだ。
一つだけ言っておくと、革張りの椅子に座りながらこの作品を読む場合、少しだけ気を付けたほうがいいかもしれない。
おわりに
感想が少しだけ臭い感じになってしまいました……
お恥ずかしいです……
次回も江戸川乱歩シリーズの予定です。
多分『D坂の殺人事件』について書くと思います。
明智小五郎初登場の作品です。
是非お読みください。
最後までお読みくださりありがとうございます。
光文社
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