かちかち、かちかち
こんにちは。
ナインです。
本日も本の紹介をしています。
今回紹介する作品は
『かちかち山』
です。
有名な民話ですね。
偶には民話もいいかなと思い今回は当ブログ初の民話紹介となります。
前に桃太郎の感想を書きましたが、あれはあくまで芥川の桃太郎について書いたのであって、民話としての桃太郎としては書いていないのでノーカウントです。
皆さん知っていると思うので、今回はあらすじの代わりにお話しそのものを簡単に書いていき、その後いつものように感想を書いていこうと思います。
今後も民話はこのような形をとっていきたいと思っております。
ちなみにですが、今回は原作寄りのお話しのほうを書きますので、残酷なお話が苦手な方はご注意ください。
かちかち山
昔々あるところに畑を耕して生活している老夫婦がおりました。
老夫婦の畑には毎日、性悪な狸がやってきて、不作を望むような囃子歌を歌い、せっかく蒔いた種や芋をほじくり返して食べてしまっていました。
怒った翁(おきな)は罠をしかけ、ついに狸を捕らえました。
翁は媼(おうな)に捕らえた狸を狸汁にしておくように言い、畑仕事に向かいました。
残った媼と狸ですが、狸は媼に命乞いをし、手伝いをすると言って媼を騙し、縄を解かせます。
自由になった狸は、杵をもち、そのまま媼を撲殺してしまいます。
そして媼の肉を鍋で煮込み、婆汁を作り、媼の骨を床下に隠した後、狸は媼に化けます。
帰ってきた翁に狸汁と称して婆汁を食べさせた狸は、翁を嘲笑ったあと、山に逃げていきました。
翁は近くに住む仲の良い兎に仇をとりたいと相談します。
事情を聞いた兎は、代わりに私が仇をとると言うと、狸の元へと行きました。
最初に兎は、うまい話がある、と狸を芝刈りに誘います。
その帰り道、兎は狸の後ろを歩き、火打石で狸が背負った芝に火つけます。
火打石がだすかちかちという音を不思議に思った狸は、兎にこの音はなんだと問います。
兎はかちかち山だからかちかち聞こえるんだと言います。
疑いながらも兎の言葉を信じた狸は、やがて自分の背中が焼けていることに気付きます。
その結果狸は背中に火傷を負うことになりました。
後日、兎は狸によく効くという塗り薬を渡しました。
しかしこの塗り薬は唐辛子入りの味噌でした。
そうとは知らずに狸は背中に薬を塗ります。
狸は薬を塗った途端、背中が焼けるような痛みに襲われ、更なる苦しみを味わうことになるのでした。
狸の火傷が治ると、兎は狸を漁に誘います。
兎は木の船とそれよりも大きな泥の船を用意しました。
欲張りな狸は、こっちの方がより多くの魚を乗せられると言い、さっさと泥の船に乗り込んでいきます。
そして2匹は沖へ出ていきました。
しばらく経つと、案の定泥の船は溶けて沈んでゆきます。
船が沈むことに気がついた狸は、自分は泳げないと言い、兎に助けを求めます。
しかし兎は助けに応じるでもなく、逆に狸を櫂で叩いて沈めようとします。
抵抗のしようがない狸はやがて動かなくなり沈んでしまいました。
こうして見事性悪な狸を葬り、媼の仇を討った兎は、翁の所に戻りその事を伝えます。
泣いて喜んだ翁は精一杯の感謝を兎に伝えました。
その後一人と一匹はそれぞれの生活に戻っていきましたとさ。
おしまい。
感想
最初に一つ謝っておきます。
最後の翁と兎のその後ですが、創作しました。
すみません。
一応その後を描いた作品として、狸の息子が兎に仇討ちするというものがあります。
しかし原作(そもそも民話なので原作と呼んでいいのかはわかりませんが)では、その後自体そもそも描かれていないと私は思っているので(私の勉強不足かもしれません)、あのまま終わらせるのは少し嫌だなと思い、付け加えさせていただきました。
しかしそれ以外はほとんど原作寄りの話と一緒なので安心してください。
現在広く流通している『かちかち山』の絵本などでは、狸は媼を殺さずに、少し怪我をさせる程度で、狸も殺されずに最後は改心するというお話が主流のようです。
それにしても少し怪我をさせただけであそこまでの仕打ちはやりすぎな気もします……
太宰治が書くかちかち山でもそのことについて言及しています。
太宰版かちかち山では、兎は冷酷な美少女で、狸は兎に恋する大食い愚鈍な中年男となっています。
太宰版かちかち山は「太宰治のかちかち山」というタイトルでテレビドラマ化もされているようです。
芥川のかちかち山はとても短いですが、幻想的に書かれています。
両バージョンとも面白いので、合わせて読んでみてはいかがでしょうか?
おわりに
今回初の試みとして、物語をそのまま書くということをしたのですが、いかがでしたでしょうか?
改めて思いましたが、かちかち山は民話の中でも猟奇的な部類に入る気がします。
特にカニバリズムが主な原因でしょう。
カニバリズムを扱う民話は少ないのではないでしょうか。
そういった点から見てもこの作品の異質さが目立ちます。
もう少し感想を書こうかなと思っていたのですが、物語の方が思ったより長くなってしまったので短めにしました。
また民話について書こうと思います。
最後までお読みくださりありがとうございます。