二段


こんにちは。

ナインです。

本日も本の紹介です。

今回紹介する作品は

 

『犬』

 

です。

タイトル通り犬がメインのお話です。

この作品の著者は正岡子規です。

正岡子規の作品について書くのは初めてですので、少しだけ紹介を。

正岡子規といえば、「柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺」という句で有名です。

他にも「野球」という表記を最初に発案したりしています。

これは自身の幼名である「升(のぼる)」にちなんで、「野球(のぼーる)」という雅号を用いたことから、そのように言われています。

しかしあくまで雅号として用いていただけです。

しかし「バッター」「ランナー」などの外来語に対しては、「打者」「走者」という翻訳案は創作して定時しています。

他にも野球に関係する句や歌を詠むなどしており、文学を通じて野球の普及に貢献したと言えるでしょう。

これらのことが評価された正岡子規は、2002年に野球殿堂入りを果たしました。

ネタバレなしです。

あらすじ

○長い長い話をつづめていうと、昔天竺に閼伽衛奴国という国があって、そこの王を和奴和奴王というた、この王もこの国の民も非常に犬を愛する風であったがその国に一人の男があって王の愛犬を殺すという騒ぎが起った、その罪でもってこの者は死刑に処せられたばかりでなく、次の世には粟散辺土の日本という島の信州という寒い国の犬と生れ変った、ところが信州は山国で肴などという者はないので、この犬は姨捨山へ往て、山に捨てられたのを喰うて生きて居るというような浅ましい境涯であった、しかるに八十八人目の姨を喰うてしもうた時ふと夕方の一番星の光を見て悟る所があって、犬の分際で人間を喰うというのは罪の深い事だと気が付いた、そこで直様善光寺へ駈けつけて、段々今までの罪を懺悔した上で、どうか人間に生れたいと願うた、七日七夜、椽の下でお通夜して、今日満願というその夜に、小い阿弥陀様が犬の枕上に立たれて、一念発起の功徳に汝が願い叶え得さすべし、信心怠なく勤めよ、如是畜生発菩提心、善哉善哉、と仰せられると見て夢はさめた——、
感想

子規の作品なのだからエッセーだろうと思い読み進めていくと、妙に小説っぽい。

しかし最後に全てもっていかれた。

四国遍路の話にふれており、子規はこのような解釈をしていたのかと感心するのだが、それを吹き飛ばすようなオチ。

その吹き飛ばしたものを更に粉々にしたようなラストの大オチ。

私の個人的な感想だが、あまり子規っぽくない作品だと思うと同時に、とても子規みたいな作品だと思った。

子規は病床に7年も臥せっていた。

そんな彼がかくからこそ、大オチが活きるのだと思った。

これを他人が書いてもきっと大オチはこんなに味をださなかっただろう。

そういった意味で、『犬』は如実に子規を表しているような作品だと感じる。
おわりに

次回の更新は明後日となります。

お楽しみにお待ちください。

 

最後までお読みくださりありがとうございます。

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