変化
こんにちは。
ナインです。
本日も本の紹介です。
今回紹介する作品は
『卵』
です。
前回に続いて、また夢野久作の作品です。
このままシリーズ化しそうな勢いです。
いっそのことシリーズにしてしまおうか……
諸事情により、今回は少し早い時間での投稿です。
さて今回紹介する『卵』なのですが、夢野の作品にしてはめずらしく文体が子どもに向けるようなものとなっています。
そのため最初はそれなのですが、途中からだんだんとあれになってきます。
ここでのネタバレは避けたいと思うので、それあれと書いていますが、きっと読めば伝えたいことがわかると思います。
感想ではネタバレしているので読むときはお気をつけください。
あらすじ
三太郎君は勉強に飽きて裏庭に出ました。
空には一面に白い鱗雲うろこぐもが漂うて、淡い日があたたかく照っておりました。その下に立ち並ぶ郊外の家々は、人の気はいもないくらいヒッソリとして、お隣りとの地境じざかいに一パイに咲いたコスモスまでも、花ビラ一つ動かさずに、淡い空の光りをいろんな方向に反射しておりました。
その花の蔭の黒いジメジメした土の上に初生児あかんぼの頭ぐらいの白い丸いものが見えます。
「オヤ……何だろう」
と三太郎君は不思議に思い思い近寄ってみますと、それは一つの大きな卵で、生白い殻からが大理石のような光沢を帯びておりました。その横の地面に竹片たけぎれか何かで字を書いて、卵と一所いっしょに輪形の曲線で包んでありました。
……三太郎様へ……露子より。
三太郎君はハッとして慌てながらその文字を下駄げたで踏み消しました。そうしてコスモスの花越しに、空地続きになっている裏隣りの二階をあおぎました――。
感想
最初は夢野にしては珍しい文体で、内容もすこしいつもと雰囲気が違っているなと思った。
だがどうだろうか、いざ読み進めると、期待を裏切ることなくホラーではないか。
やはり夢野はこうでなくてはいけない。
途中でホラーとなることにより、今までは少し違和感がある程度だった文体が急に不気味に思えてくる。
そこまで考えて書いていたのだろう、ということがわかると同時に、夢野の技術の高さに驚かされる。
おわりに
実は前回の記事でちょうど50記事目でした。
これからも頑張っていきますので、末永くお付き合いください。
最後までお読みくださりありがとうございます。