世界観ワールド


こんにちは。

ナインです。

本日も本の紹介です。

今回紹介する作品は

 

『どんぐりと山猫』

 

です。

宮沢賢治の作品で、これで4冊目の感想となります。

『どんぐりと山猫』は賢治が生前に出版した唯一の作品集『注文の多い料理店』にも収録されました。

この作品はひょっこりひょうたん島を手がけた井上ひさしが自分の貯金で買った初めての本だとのことです。

ネタバレしているのでお気をつけください。

短い作品ですので、是非ご一読してみてください。

あらすじ
  をかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。

  かねた一郎さま 九月十九日
  あなたは、ごきげんよろしいほで、けつこです。
  あした、めんどなさいばんしますから、おいで
  んなさい。とびどぐもたないでくなさい。
                山ねこ 拝

 こんなのです。字はまるでへたで、墨もがさがさして指につくくらゐでした。けれども一郎はうれしくてうれしくてたまりませんでした。はがきをそつと学校のかばんにしまつて、うちぢゆうとんだりはねたりしました。
 ね床にもぐつてからも、山猫のにやあとした顔や、そのめんだうだといふ裁判のけしきなどを考へて、おそくまでねむりませんでした——。

感想
 賢治お得意の擬音が多い。

やはり賢治の作品といえば擬音があってこそだろう。

そして独特ともいえる唯一無二の世界観。

なんとも言えない不思議な空間で繰り広げられる話はとても優しい雰囲気に包まれる。

賢治の作品は不思議な世界観でふわふわとしたような話と現実的(というのもちょっと違う気がしないでもないが)だがどこか不思議な感じがする作品の二種類に分かれていると思う。

まだこのブログで書いたことはないが、前者は『やまなし』などが挙げられるだろう。

私が今まで書いてきた作品はいずれも後者だ。

そして『どんぐりと山猫』も後者だろう。

『どんぐりと山猫』では裁判が話の主軸になるのだが、この裁判が何を表しているかが重要だろう。

賢治ワールドとも呼ぶべき世界観の中で繰り広げられる裁判はイマイチ何を表しているのかが判然としない。

これを私なりの解釈をすると、現代社会への痛烈な批判と捉えた。

不毛な争いを延々と続ける民衆と、それを収めることができない無能な指導者を表しているのではと考えた。

賢治なりの社会への批判を表していると考えると、とても納得できるのだ。

存外賢治ワールドを一つづつ紐解いていくと賢治なりの考えが表れてくるのかもしれない。

おわりに
 あけましておめでとうございます。

今年もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

 

最後までお読みくださりありがとうございます。